Q (241) サキノハカという黒い花とはどんな花ですか?(やまもとしゅうじ)

A
Date: Mon, 29 Mar 2004  やまもとしゅうじさん

Date: Tue, 16 Mar 2004  小林真次さん

Date: Tue, 3 Feb 2004  ウリャーノフさん


Date: Mon, 29 Mar 2004
  やまもとしゅうじ

自己レスになるのですが、
「釈迦の墓」
->「サーキヤのハカ」
->「サキノハカ」
という説があります。
(宮沢賢治幻の羅須地人協会授業 畑山博著 -- 廣済堂出版)


Date: Tue, 16 Mar 2004
  小林真次

「サキノハカ」については、最初から奇異な印象を受けていましたが、井出孫六著『歴史紀行 峠をあるく』ちくま文庫・380(書籍コード4‐480‐02120‐5)の「笛吹峠−遠野物語と南部一揆(岩手)」同書51頁−68頁の67頁−68頁にかけて、次ぎの指摘・記述がありますのでここに引用します。

「省略−かってこの街に住んで、早池峰山をうたい、盆地の峠道を愛した詩人宮沢賢治の旧居を訪れた。そこにわたしを待っていたのは、佐藤勝治氏の書かれた一冊のパンフレットだった。
 賢治の詩句に
  サキノハカという黒い花といっしょに 革命がやってくる
 という一節があり、この「サキノハカ」という黒い花を求めて東北の各地を歩き、さまざまの植物図鑑を探しあぐねた末に、同じ賢治ののこした遺稿中に「ポラーノ」とか「ロザーロ」とか「グスコーブドリ」などという賢治が自らつくった造語があることの関連で、パンフレットの著者は、「サキノハカ」ということばもまた、賢治固有の造語と考え、それを「暴力」という文字の分解されたものと読みとっているのを、わたしはおもしろいと思わざるをえなかった。
 東北の山や峠を歩きまわってみても、そこに「サキノハカ」などという珍妙な黒い花はどこにもない。たしかにその片カナを「暴力」におきかえてみれば、それは飢饉にあけくれた大正・昭和の疲弊した東北農村の不気味な静けさと、されに照応して広大な詩の世界をつくりあげた宮沢賢治の内部の風景がそこにさりげなく映しだされて−以下省略」

 どうやら佐藤勝治氏の書かれたパンフレットの考察が正鵠を得ているのではないでしょうか。


Date: Tue, 3 Feb 2004
  ウリャーノフ

「サキノハカ」という言葉は、詩ノートの中の二つの詩に書かれていますね。ぼくも前から疑問だったのですが、感じだけで答えさせてもらえば、「先の墓」ということではないでしょうか。どちらの詩も革命や新しい時代について唄ったものですし、おそらく賢治は、歴史というものが行き詰まったときこそ、本当の革命ができると考えたのだと思います。「先の墓という黒い花」。ちょっとぞっとする花ですね。この答えが間違っていればいいんですけど。


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