第5位 グスコーブドリの伝記(17 points)

●自分は、科学者を目指しているので、このブドリのような、自己犠牲に基づいた科学を志したいから(櫻 大徳)。

●地球の寒冷化による凶作から農民を救おうとする自己犠牲の精神(佐藤 孝雄)。

●14歳位で読んでから、年に2〜3回、なぜかいまだにあるシーンをよく夢にみます。稲?の病気を治すために田んぼいっぱいに水を張り、油を浮かせてそのなかで病気を窒息させて退治するというシーンです。なぜ思い出すのかがよくわかりません。でも本当に描写が細かく、初めて読んだときでも農学のことなど何も知らなくてもあのブドリの熱い心がきっと自分のなかに存在したのかもしれません。(憧れかも・・・)
 一生をなにかに費やせるというのはすべての人にとっても憧れではないですか?また彼には師と仰ぐにふさわしい博士がいたことも、また彼の縛らない教育方針も学校に対してあまり期待を持てなかった世代の私としては憧れ・本当の意味の聖職に思えたのかもしれません(はらだ ゆりこ)。

●賢治の希望そのものです。岩手で育った私は、農民などの苦しみや愚かさ、素朴さなどをこの物語によって自分ものとして感じることが出来るようになりました。
 身を呈して農民を救おうとするグスコーブドリの行為が、偽善でもなく夢物語でもなく思えたのは、賢治がどこまでも希求しながら、その不可能(皆を救うことの不可能)を知り尽くしていたからです。
 今は、飢えて子を売らなくてはならない農民はいなくなりました。しかし、心の飢えは人を蝕んでいます。賢治は導く恵方も見えないまままたおろおろとすることでしょう(鈴木 安子)。