天気輪の柱

 そのまっ黒な、松や楢の林を越えると、俄にがらんと空がひらけて、天の川がしらしらと南から北へ亙ってゐるのが見え、また頂の、天気輪の柱も見わけられたのでした。つりがねさうか野ぎくかの花が、そこらいちめんに、夢の中からでも薫りだしたといふやうに咲き、鳥が一匹、丘の上を鳴き続けながら通って行きました。
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第7巻『銀河鉄道の夜』P.247」


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