蠍 星

 赤い眼の蠍星が向ふから二つの大きな鋏をゆらゆら動かし長い尾をカラカラ引いてやって来るのです。その音はしづかな天の野原にひゞきました。
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第5巻『双子の星』P.30」

 「蠍ぼしが向ふを這ってゐますね。あの赤い大きなやつを昔は支那では火と云ったんですよ。」
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第6巻『土神ときつね』P.110」