孔  雀

 青ざめたあけ方の孔雀のはね
 やはらかな草いろの夢をくわらすのは
 とし子、おまへのやうに見える。
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第1巻『青森挽歌 三』P.257」

 そこらは青い孔雀のはねでいっぱい
 真鍮の睡さうな脂肪酸にみち
 車室の五つの電燈は
 いよいよつめたく液化され
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第1巻 『青森挽歌』P.176」

 天の子供らは夢中になってはねあがりまっ青な寂静印の湖の岸、硅砂の上をかけまわりました。
 「ごらん、蒼孔雀を。」
 まことに空のインドラの網のむかふ、数しらず鳴きわたる天鼓のかなたに空いっぱいの不思議な大きな蒼い孔雀が宝石製の尾ばねをひろげかすかにクウクウ鳴きました。
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第6巻『インドラの網』P.148」


 孔雀の存在はとし子の「青」をさらに具体的に、そして天界のイメージとしたのではないか?
 他の鳥たちの役割は何だろうか? 蜂雀よだか