「鴇、鴇、どこに居るんだい。火を少しお呉れ。」
 「すきな位持っておいで。」と向ふの暗い木立の怒鳴りの中から鴇の声がしました。
 「そこらにあるぢゃないか。持っといで。」鴇が又答へました。
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第5巻『若い木霊』P.194」

 鳥は、ついておいでといふやうに、蘆のなかから飛びだして、南の青いそらの板に、射られた矢のやうにかけあがりました。タネリは、青い影法師といっしょに、ふらふらそれを追ひました。かたくりの花は、その足もとで、たびたびゆらゆら燃えましたし、空はぐらぐらゆれました。鳥は俄かに羽をすぼめて、石ころみたいに、枯草の中に落ちては、またまっすぐに飛びあがります。
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第6巻
『タネリはたしかにいちにち噛んでゐたやうだった』P.374」


 鴇は異次元への入口と思われる「暗い巨きな木立」からの使者なのでは 暗い巨きな木立
 他の鳥たちの役割は何か? 蜂雀孔雀よだか