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松井隼さんの旅
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「沖縄紀行」 1986年のノート

9/22

 8°00′ 起床
西田氏は8°30′の船便で一足先に帰る。
我々3名は、久高島一周を行った。東の海岸沿いに進み途中昨日より北の浜で海に入り遊び、また進んで北端の岬の浜に出て昼食。今日の昼食は大橋さんがあらかじめよろづやさんからすしを買い用意してあった。食後同じ道を中ばまで戻り西海岸へ出るために右にまがる。西海岸へはなかなか出られない。
島の中央部と思われるところに道路補修工事が行われている場所があり、トラックでやってきた島の中年のおばさん達10名強と会う。「ダメダメ」という感じで手をふりあげるおばさんが1名いたが、顔は何故か笑顔を装っている。そこを通りすぎると大獄の入口があった。好奇心をこらえ、中に入ることは遠慮した。
西の海岸に出そうな小径をみつけ崖の上にでるが浜にはおりられない。崖の上はやわらかい草でおおわれた広場があり、海の向い側に沖縄本島やその他の島々が眺められる。風光絶佳。やはり神域に入りこんでしまったのだろうと思わざるを得ない。 雨が降り始める。
崖を降りる階段が2ケ所あった。2つとも、水汲み場に降りるためのものであった。先の水汲場の方が古いものであろう。村落からの距離も遠いし、水汲場のただずまいも古く、まわりの崖に石を置いて何か念じている。2つの水汲み場は2つとも今は用いられてはいない。本島から太い鉄パイプで水を送っているのである。水について更にふれれば、家々の屋根は降水を貯めるために平らな盆の形につくられている。飲料用以外の用途にこの水が用いられるそうだ。
雨にズブぬれになって、島めぐりは終了。

久高島の植生。
アダン---防風林
フクギ---家屋周辺防風林 
神木であるクバ(ビロウ)
   クバは風に吹かれてカサカサキュッキュッと鳴く。
   神の声なのか。
   島の北東に群生していて天然記念物の指定を受けている。
桑の一種 樹形が本土の桑と異なるが、その実はまったく同じ。丁度実っている最中 で あった。歩く間ときおり食べる。うまい。
島の中央を占めるかん木は何という木なのか?
やしは庭に植えられている。
北端の崖の岩の上には高山植物に似た草が岩にしがみつき黄色い花を咲かせ、強い風にゆられていた。

午後3時本島への船に乗る。(船室での冥想 何故か神のスタイル。)来た道を逆にたどり那覇のバスターミナルで休憩。偶然にも、休憩した喫茶店の隣が金近さんのつとめる事む所。彼女も休憩に参加。国民宿舎 名護浦荘に泊る。

9/23

 8°00′ 起床 雨
 8°30′ 朝食
 9°15′ タクシーで海洋博記念公園へ。

時間がないので海洋博記念公園は海洋文化センターと熱帯ドリームセンターの2ケ所のみ見る。
海洋文化センターに集められた大平洋の島々の生活文化を語る大小の道具、船、家などは非常に楽しい。大きな疑問
これらの海洋文化と沖縄文化、日本文化とのつながりがあきらかでない。
展示はそれをあきらかにしようという意図が感じられない。ただ集めてきたというだけだ。例えば、土器の展示がない。海洋の島々には土器はなかったのか。もしそうなら木製のボウルの展示にそえて、そのことを説明し、それによって、土器をもった縄文・弥生の文化が海洋文化と一線を画していることを語るべきである。またもし海洋の島々に土器があるのなら、それを集めて展示し、縄文・弥生との連続がどうなっているのかを語るべきである。
熱帯ドリームランドについては語るべきこともない。ただ、建築物だけは手がこんでいた。

雨の中 わずかにできた時間を使って、奄美以南の沖縄の島々の民家を復元したコーナーをみる。時間があればゆっくりとみておきたいところ。

 12°00′ タクシーで名護へ。
名護から、バス代と同じでよいという帰りのハイヤーの申出を受けてハイヤーに乗り那覇へ。
途中スコール。フロントガラスを流れる雨で前方がよくみえない程だ。
那覇に近づく頃雨が止み、突然青空がひろがる。南の島の気候の一端を体験した。

船員会館に入り、荷物を部屋に置いて、山本、大橋の両名は国際通りの観察調査に出る。
私は単独で糸満までバスに乗る。3°00′

名護や糸満などのローカルの町はどのように成り立っているのであろう。
古くからの漁業などはすでに生活基盤ではないはずだ。しかし、それに代わる新しい産業があるとも見えない。これは沖縄に限ったことではないはずだ。一度よく検討してみなければならない。

糸満ではまたも雨にふられ、さびれた漁港をのぞき、その一隅に、今にも朽ち果てそうな港湾建築の碑をみつけ、寄付がハワイ等への移民からも寄せられていること、碑の建立が大正11年であること等を知ったまでで、喫茶店に雨やどりに入る。(喫茶店でメモ/瞑想)

(船員会館で記録)那覇にもどり、国際通りで夕食、船員会館で泡盛、そして、今回の旅の感想交換。

    
松井隼記念館運営委員会 fieldlabo@as.email.ne.jp