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松井隼さんの思い出ビデオリサーチ
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松井さんとの想い出(エピソード1)

株式会社 ビデオリサーチ 常務取締役 木戸 茂

松井さんは私にとって年上の友人、先輩というよりは、恩師の一人である。
松井さんが在籍されていた頃のビデオリサーチは創立10数年の比較的若い調査会社であった。
当時の私もまた比較的若い営業マンであった。特に、大風呂敷を広げて前例の無い仕事を受注するのが得意であった。ある時、クライアントの広告代理店の研究開発部門から、何かの弾みで広告効果の調査ではなく、広告効果に関する関数モデルのソフトウエアの開発を受注してしまったことがあった。
確固たる勝算は無かったが受注した以上、自分で何とかするのが当時のビデオリサーチの掟であった。
松井さんに相談したところ、非線形の一般モデルをベースにパラメータ操作だけで複数の反応関数を当てはめることのできる当時としては画期的なアイディアのシステムができた。ちなみにこのソフトはFIT001という名称で現在も現役である。
この時、松井さんは図や数式、計算ロジックを文献などは参照せずに私に説明したことを昨日のことのように覚えている。サラリーマンのくせに凄い人だなと思った瞬間である。
松井さんにとっては軽い話であったと思う。
この時に限らず、松井さんは話の内容がテクニカルなものであっても常にその背景となる「哲学」や「思想」を元に熱く語られていたことが今も強い印象として残っている。

私にとって松井さんは、今も偉大な先輩、師匠である。

松井隼記念館運営委員会 fieldlabo@as.email.ne.jp