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『<解説> 広告媒体の到達率推定モデル』

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『メソリンガムモデルとその周辺--松井メモ』
*(6) メソリンガムモデルと負の二項分布モデルの関連

『メソリンガムモデルとその周辺』
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メソリンガムモデルとその周辺---松井メモ(6)

メソリンガムモデルと負の二項分布モデルの関連

 メソリンガムモデルを導く前提となった仮説は

1.視聴率がPであるグループの大きさはベータ分布

  で表される。

2.一定の視聴率Pであるグループの中での視聴回数の分布は二項分布

  で表される。

以上の2点であった。

 全体の視聴回数の分布F(k)はPの各レベルに於けるを足し上げること によって得られる。


 負の二項分布モデルは、上の仮説に加えて

3.総時点数は無限大である。
  但し、延視聴率Q1及び延二時点間重複視聴率Q2は一定とする。

という仮説を加えることによってメソリンガムモデルからの一つの極限分布 として導き出すことができる。
 つまり負の二項分布モデルは、総時点数Nを人為的に変数nと見做しメソ リンガムモデルに於いてn→∞とした場合の極限を想定するわけであるが、 この場合メソリンガムモデルでデータとして与えられるN, Q1, Q2のうちN は無視しても、Q1及びQ2は保持しておくわけである。

 上記の極限分布が負の二項分布に一致することを証明する。

(1) パラメーターl,mとn,Q1,Q2の関係

メソリンガムモデルによると


この式から

が得られる。

この式から


但し、

であり、ε1、ε2はn→∞の時0に収束する。

(2) n→∞の時、nP=xを一定とするグループのウエイトw2(x)はΓ分布に収 束する。


n→∞の時右辺第2項以下は


従って


従ってw2(x)全体は


に収束するが、0からnまでのw2(x)の積分は常に1であるからである。

(右辺第一項の極限値の厳密な証明は略す)
        <注.一様収束性>

以上によってベータ分布の一つの極限分布としてΓ分布

が得られた。

(3) nP=xを一定とするグループの中での視聴回数の分布は、二項分布であ るからこれをn→∞とする時は、ポアッソン分布に収束することは明ら か。

 以上によってメソリンガムモデルの二つの仮説においてnをQ1, Q2一定 という条件で無限大にもってゆけば、負の二項分布モデルの二つの仮説

・GRPがxであるグループの大きさはΓ分布であらわされる。
・一定のGRP・xであるグループの中での視聴回数の分布はポアッソ ン分布であらわされる。

が導かれることが証明された。

 ここでついでにxの導出から得られたパラメーターα、βが負の二項分布 モデルから直接得られたものと同一であることを確かめておこう。



これらは負の二項分布モデルのパラメーターm,Ρと完全に一致している。

     
松井隼記念館運営委員会 fieldlabo@as.email.ne.jp